直線上に配置
直線上に配置
 全国的に麻しん(はしか)が大流行しています。奈良県でも、
10〜20代を中心に集団感染が広がり、大学が休講するなどの対応がとられています。
麻しんは、感染力が非常に強く、重症な場合には肺炎や脳炎を合併することもある病気です。
 また、特に乳児や大人では重篤になりやすいので注意が必要です。

麻しん(はしか)って、どんな病気?−

<感染経路>空気・飛沫感染
<潜伏期間>10〜12日
<症  状>
 前駆期:3〜5日間、発熱、咳、鼻水など「かぜ」に似た症状が
 続く。

 発疹期:一旦、熱は下がるが、目が赤くなり目やにが出たり、目
 の中にはしか特有のコプリック斑(周囲に発赤を伴う白い斑点)が
 出る。再び、高熱が出て、顔、首、全身に発疹が現れ、4〜5日
 間続く。

 回復期:発熱はおさまり、発疹は色素沈着を残して消退する。

<治  療>
 特効薬はなく、対症療法。

<看護のポイント>
 @熱が続くときには水枕などでクーリングする。
 A部屋は20℃でくらいに、時々換気を。咳が激しいときは加湿
  する。

 B熱が長く続いて脱水症を起こしやすいので、飲み物はじゅうぶ
  んにあげる。(番茶、果汁、スープなど)

 C食欲もなくなり、のども痛いので、ご飯は柔らかめの消化のよ
  いお粥のようなものを与える。プリン、アイスクリームなどで
  もOK。

 D熱が下がれば、お風呂はかまいません。
<予  防>
  麻しんウィルスの接種が有効。1歳時と小学校就 学前1年間は
 予防接種法による定期接種、それ以外は任意接種となる。また、
 患者に接触した時は、接触後3日以内であればワクチンが有効。

なぜ、今年、麻しんが10〜20代に流行したのでしょうか?−

 その原因として、ある程度予防接種が普及した結果、感染症の自然な流行が少なくなり、ウィルスに接する機会が減ったことが指摘されています。予防接種により免疫を得た後、時間の経過と共に徐々に免疫が弱まってきます。これまでは、周囲での自然な流行でウィルスに何度か接する機会があり、その度に免疫が強化されてきました。
 しかし、流行が少なくなった結果、予防接種の効果は、接種後10年程しか期待できなくなっています。

 予どもの頃に予防接種をしていても決して安心はできません。風邪のような症状であっても、油断禁物です!!

   
(奈良県中央こども家庭相談センター 保健師 大井 久美子)

☆麻しん(はしか)について☆