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  「ありがとう、オカン」から始まって
        奈良県高田こども家庭相談センター
            所長  久保 博

 里親会の皆さま、又、里親制度に関心をもって、この「里親なら」第5号をご覧の皆さまに、日頃のご苦労とご協力に対して御礼申し上げます。

 2008年12月3日に「児童福祉法等の一部を改正する法律」が公布され、里親制度に関しても、養育里親研修の義務化や県業務としての相談、情報提供等の支援の明確化等の見直しが図られました。今後さらに、県、こども家庭相談センターそして県里親会が連携・協力して里親制度を充実・強化していきたいと思っております。

 さて、今年、里親制度にふれたテレビ番組、NHKの連続テレビ小説『瞳』、関西テレビの『ありがとう、オカン』そして毎日テレビの『ラブレター』等が放送されました。特に『ありがとう、オカン』は、奈良県出身の重松圭一プロデュサーが多くの里親、里子に会って取材され、大阪市西成を舞台に里親のオカンと、18歳の二人の里子を軸にした話で、大阪市中央児童相談所その他多くの皆さんの協力の下、完成されました。児童養護施設にいた子どもたちが里親と暮らしていく中で、ぶつかり合いながら家族の絆を育んでいくという内容に、私も大いに感動しました。重松さんは、「オカンは血の繋がっていない里親だけど、いずれ独立する里子には道筋をつけて人生を歩ませたいと必死になる。里子はオカンに「ありがとう」という言葉を最後まで言えないが、ずっと心の中では感謝の思いを抱いている。このドラマから「家族とは」を考えていただければと思います。」と語られています。私は、他の作品も含め、「家庭・家族はお互いに努力して創っていくもの」ということがその底流にあると思いました。

 私たちが福祉現場で多くの子ども違と接する中で、彼らが欲しているのは、表現の違いはあっても「家族全員が楽しく仲良く過ごす」ということでした。このような当たり前のことを子ども違が望まざるを得ない現状を、親の世代である大人が真剣に反省しなければなりません。安らぎのある楽しい家庭は、家族が意識的に協力・努力し合わなければ、なかなか得ることはできません。私たち大人が、子どものためにも、自分のためにも、あらためて家庭・家族を見つめ直すことが必要でしょう。

「子育ては難しい。こんなはずではなかった。」と頭を抱える父親。「私の言うことなど全然聞かないし、何を考えているのか分からない。」と自信をなくした母親。「子どもが見えない時代」と言われて久しいですが、親は見ようとしないのか、親が勝手に見ているのか、とにかく親にとって難しい時代です。このような時、一番大切なことは、口で言うほど簡単ではないけれど、やはり親や大人が一歩も二歩も下がって冷静に子どもに接することでしょう。子どもの心の琴線に触れ、心音(思い)を『聴く』努力をどれだけしているかでしょう。私たち相談機関も同じで、日々課題として『聴く』努力をしております。

 子どもの幸せとは何でしょう。それは、子ども 最後になりましたが、子育てで里親さんが疲弊し過ぎることなく、里親になろうとした時、始めた時の子どもへの思い「大変だけど、楽しいよ」という気持ちを維持していただけるように、私どもも共に頑張っていきたいと思います。

 『子育ては涙と笑いのヤジロベー』ですね!!
         (和光堂「子育て川柳」より)

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