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  「里親月間」に寄せて
            奈良県こども家庭局
            局長 高木 三起子

 里親会の皆様には、日頃より里子の養育と監護に大変熱意を持って取り組んでいただいておりますこと、あわせて里親会活動の活性化に向けてご活動いただいておりますことに、心より敬意を表します。また、県において平成19年度から取り組んでおります「里親推進事業」の実施につきましても、ご尽力・ご協力をいただいておりますことに厚くお礼申し上げます。

 昨今、要保護児童の状況は、憂うべき状況にあります。
 平成19年度、全国の児童相談所が受け付けた児童虐待相談の総数は、4万618件となり、はじめて4万件を超え、過去最高を記録しています。
 また、本年6月、厚生労働省より「子ども虐待による死亡事例等の検証結果報告」が公表されましたが、それによると、平成15年7月から平成18年12月の3年半の問に、児童虐待により命を落とした児童は192名となっています。毎年50名から60名の幼い児童が命を奪われているという状況です。 奈良県におきましても、平成19年度に県こども家庭相談センターが受け付けた児童虐待相談件数は682件と過去最多を更新し、また、今年3月に乳児が両親からの虐待で死亡するという痛ましい事件が発生しています。

 こうした要保護児童に対しては、非常に細やかなケアが求められますが、県内の児童養護施設は恒常的に入所率が高く、そこで生活する被虐待児童の割合も年々高まっているのが現状です。

 このような状況から、県では、要保護児童への対策の充実を喫緊の課題と位置づけ、児童虐待防止対策の強化、社会的養護体制の充実を施策の重点項目に掲げて取り組んでいるところです。
 特に、社会的養護の推進にあたっては、家庭的,家族的ケアの必要性から、施設のケアの小規模化と併せて、子どもが特定の大人との愛着形成を図ることができる里親の推進が欠かせないものと考えています。
 奈良県の里親委託の状況としては、里親会の皆様方の積極的な活動の結果、里親登録数、里親委託数ともに著実に増加してきています。

 昨年度、里脱会の会員の方々による里親の体験発表を拝聴して、多くの参加者と同様私もまた、里子の成長を喜び、里子が将来たくましく自立することを応援しつつ温かく見守っておられる里親さんのお姿に感動いたしました。と同時に、試し行動の時期、反抗的になる時期あるいは入学進学期における対応等大変なご苦労があろうことを思い、改めてその活動と努力に頭が下がる思いでした。
 滉かい家庭環境の中で全ての児童が養育されることは私達の願いです。里親家庭での生活体験は里子にとって成長の糧となる貴重な体験です。
 県では、昨年度に引きつづき、里親制度の普及啓発、里親の開拓と委託の推進、里親家庭への支援による委託環境の整備を3つの柱として「里親推進事業」を実施しております。

 今後とも、子どもたちの笑顔あふれる健やかな成長のため、皆様方の一層のご理解・ご協力をお願い申し上げます。

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