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       「里親なら」によせて
    奈良県こども家庭課 課長徂徠おさむ


 平成19年4月1日付でこども家庭課長に就任しました徂徠です。どうぞよろしくお願いします。
 日頃より熱意を持って、家庭での養育を必要とする子どもたちを自分の家庭に迎え入れ、また奈良県
里親会の活動に積極的に参加しておられる皆様方に厚くお礼を申しあげます。

 このような状況の中で、奈良県における児童虐待の相談件数が平成17年度は過去最高の534件となり、平成18年度も同様な状況でした。悲惨な状況が日々報道されており、県内でも、子どもが入院を要するような深刻な事件があったこともご承知のとおりです。

 虐待を受けて、心に深い傷を負った子ども、また様々な事情により家庭で育てられない子どもたちの傷ついた心を開き、愛着関係の形成を図り、大人や杜会への信頼感を回復させるということは、その後の成長にとって大変重要です。従来、これらの子どもたちの生活する場はほとんどが児童福祉施設でした。
 今後は施設の小規模化を推進するとともに、家庭で子どもを育てる環境を整備していく必要があると思います。これらの子どもたちを、愛情と理解のある家庭の中で養育し、健やかな成長を図るという里親制度の重要性が高く認識されてきているところです。

 平成16年12月に厚生労働省が示した「こども・子育て応援プラン」では、里親への委託率を15%にするとの目標が設定されておりますが、県内の委託率は4%台にとどまっています。

 子どもたちが最初は「顔を合わさない」「感情をコントロールできない」等の状態であったのが、「笑顔を取り戻した」「人の話を聴くことができる」「自分のことを話せる」「高校に入学した」「卒業して就職した」等の姿を見ますと、里親の皆さんから愛され、大切にされた経験が、子どもにとって大きな心の支えになったと思います。一方で、子どもたちの予想できない行動やトラブルヘの対応など、様々なご苦労に敬意を表するものです。このような時期にこそ、皆様とセンターの職員がより一層連絡を取り合い、子どもの成長を支援していくことが必要と考えます。

 奈良県は平成19年度から里親推進事業を実施することとしました。新たな事業は、3つの柱で取り組むこととしております。

 @里親啓発事業
 里親制度に対する杜会の認識を高めるために、広く一般県民に広報啓発を行います。
(「つどい」の開催やホームページにより里親の啓発を行います。)

 A里親委託推進事業

 里親委託推進員を配置し、里親推進委員会を設置して、里親の開拓、委託を推進します。また施設入所中の子どもに、夏休みなどを利用して実際の家庭を体験させる機会を設けます。
 B里親支援事業
 里親や里親を希望する人を対象に研修を実施し、児童福祉への理解を深めます。里親同士の集いや交流により、里親の負担を和らげる場を設置します。

 このような事業を推進するためには、里親、乳児院・児童養護施設などの児童福祉施設及び子どもを委託するこども家庭相談センターが、互いに理解を深め協力することが必要です。

 今後とも、子どもたちの立場に立った里親制度の啓発・推進に努め、子どもたちの笑顔あふれる健やかな成長のためにも努力していきたいと考えています。皆様方の一層のご協力をお願いします。

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