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 「里親も里子も共に」
       里親M

 彼女がうちに来だのは中学3年生の7月。当初3ヵ月間だけの短期でということでしたが、結局、高校卒業までの3年9ヵ月の間を、うちで過ごしました。
 環境も全く違う中で中学3年生まで成長し、すでに自分の考えができ上がっている上に、思春期の真っただ中ということもあり、こちらの思いが通じずにたびたび衝突があり、私の方が精神的にめげてしまって投げ出しそうになる日が何度もありました。
 そんな時は、「縁あって神様が私たちに一緒に生活しなさいと引き合わせてくださった子、今は分かってもらえなくてもいい、大きな親心で見守ろう」と夫婦で励まし合って乗り越えてきました。
 無事、自立までを手助けし、送り出すことができて、今こうして文章に思いを綴ることができます。諦めず続けてきてよかったと、正直、今は安堵の思いでいっぱいです。
 そして何より、人の役に立てる、社会に貢献できる、刑務官という仕事に就いてくれたことは嬉しいことです。
 彼女にとってはやむを得なかったこととはいえ、今までずっと社会から恩恵を受け続け、お世話してもらいっぱなしの生活でしたから、少しでも社会のお役に立てるような、してもらって当たり前でなく、感謝の心を持ってご恩返しのできる人生に切りかえてもらいたいと常に思ってきました。
 持ち前のがんばりで難関を突破し勝ち取ってくれた道ですが、神様が彼女にくれたチャンスの場だと感じます。
 厳しい仕事だと思いますが、全てを自分の肥やしにして成長してもらいたいです。私たちも末永く気長に見守っていこうと思います。
 思いもかけず里親をさせていただき、我が子よりも年上の子だったこともあり、経験不足でとまどうことの多かぅた日々でしたが、改めて、親としての心の持ち方を勉強させて里親も里子も共に人間として成長する機会をいただいたのだとつくづく感じています。
 里親も里子も共に人間として成長する機会だったとつくづく感じています。